すみれ山吹、春の暮(3)建礼門院右京大夫集より

3.海のみちの・・

建礼門院右京大夫集  祥香書

「海のみちの春の暮」の題で、海路の春の夕暮れの意です。

 「錨おろす波間にしづむ入日こそ
  くれゆく春の すがたなりけれ」

選字は、「い可り於ろ春波間爾しつ
     牟以利日こ楚久連ゆ具者流
     乃寸か多な利希る」

「くれゆく春」に、春の一日と春の季節が終わりを迎える、意味を重ねた句です。晩春の季節の移り変わりを巧みに詠んでいます。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社