「千曲川旅情の詩」を書く(2)島崎藤村詩碑原文より

2.むぎの色わずかに

千曲川旅情のうた 藤村書 祥香臨

「むぎの色僅かに青し
 旅人のむれはいくつか
 畠中の道をいそぎぬ

 暮れゆけばあさまも見えず
 うたかなし佐久の草笛
 千曲川いさよふ波の

 岸ちかきやどにのぼりつ
 にごり酒にごれる飲みて
 草まくらしばしなぐさむ」

この後、「信濃路のおもひでに旧詩の一つをしるす」とあります。
島崎藤村が揮毫したこの歌は、詩碑の原文であることからか、実直な書き振りが人柄をしのばせます。

 参考文献:青春の詩歌 日本近代文学館編 青土社