蘇軾にみる精神性(5)黄州寒食詩巻より

5.毎年春を

黄州寒食詩巻 蘇軾筆 祥香臨

釈文:「年ヽ欲惜春
    春去不容惜」

書き下し文は、「年々春を惜しまんと欲すれども
        春去って惜しむを容れず」

現代語にすると、「毎年、春を惜しむ気持ちはあっても、
春は容赦なく過ぎ去って、惜しむゆとりもない。」

鑑賞:「年」の縦画を細く長く引き、余白が生きている。
   「惜」を繰り返し用いながら、字形に変化をつけて飽
    きさせない。

参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社