波の底に住んでいるという風説が(3)建礼門院右京大夫集から

3.荒涼とした浜辺に

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「木草もなき浜辺に、たへがたく風は強きに、い
かにぞ、波に入りし人の」

選字は、「木草も奈きはまへ爾多遍可多
     久風八徒よきにい可爾曽波二入利に志
     飛登の」

大意は、「木草もない荒涼とした浜辺に、我慢できないほ
     ど風は強く吹きますが、どうでしょうか、波の
     底に沈んだあの人が」

海の底に散った平家一族には、いまだ生きているのでは、という風説がありました。

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社