自由奔放な古筆、香紙切(3)

3.どういう紙に書かれていたの? What kind of the Paper was used ?
料紙は、丁子の花弁や蕾を濃く煎じて、その汁で染めたものです。
当時は、芳香を放つ料紙として珍重されていたと思われます。

「春けきものをほととぎす」
「春」は字形をいくぶん崩したため、左へ動きが感じられます。「け」は「介」を用い
小さく受けています。

「き」は「支」を選び、「も」は「毛」で流れを出しています。
「の」で大きく字幅を広げて、「を」は「越」を使って固まりを形成しています。

「ほ」は「本」を小ぶりにし、終画の点から「と」へ繋げています。一連の動きは
あたかも一字のように滑らかで、良く練れた運筆を感じるところです。

「ゞ」で受けて、「き」から「す」へ横に広げて、行の終わりを引き締めています。

                    参考文献:「小島切 香紙切」二玄社