俊成卿女家集を書いて背景を読む(4)-四十一番-
4.人から自然へ
本歌「折れ返り・・・」の主題は人のわびしさである。荻の葉が揺れ動く様を、自分自身の恋の苦しさに重ね合わせて、誰か訪ねてきてほしい、と願っている。
これを踏まえて俊成卿女の歌「秋来ぬと・・・」は自然が移り変わり秋がやってきた、ことが中心にある。葉末を吹き通る風が、下荻の露を消し、また形となるという変遷が描かれている。
下荻の描かれ方の変化
本歌は風によって右往左往する人間の感情が映し出されている。俊成卿女歌は「露消かへり結ぼほれつつ」と、露が消えることと丸くなる過程に目をむける。
人知れず秋風の過ぎた後に消えては丸く結ぶ下荻の露という、とても細やかな自然の移ろいへと客観的視点で着目したことに特徴がある。
参考文献:平安鎌倉私家集 久松潜一校注 岩波書店


