俊成卿女家集を書いて背景を読む(2)-四十番-
2.参考歌との対比
参考歌「夏草は・・」は夏草が生い茂り道が隠れるほどになったので道しるべに草を結ぶという、夏の生命力にあふれた草の勢いを詠んでいる。
一方俊成卿女の歌「人問はぬ・・」は一転して静かでしんみりとした夏の終わりを思わせる。夏草の茂りがここでは、誰も訪れない人の跡さえ消えてしまう「蓬」へ変化している。
「夏の草の茂り」という共通のテーマを掲げながら、俊成卿女はそれまでの明るく正気に満ちた草いきれを、孤独の香り漂う「蓬」へと変え、新たな寂しさを歌に纏わせた。
参考文献:平安鎌倉私家集 久松潜一校注 岩波書店


