『張季明帖』を臨書して(2)米芾行書三帖から

2.気力また

釈文:「気力復何如也。真行相間。」

書き下し文は「気力復た如何なるやと。真行相間(まじ)わり。」

鑑賞:「気力復何如也」この帖の特徴といえる箇所。連綿の草書で一気に書き上げる。一連の中に文字の大小、広狭、細太がある。日本のかな書にも通ずる見事な流れである。

書は王献之の『中秋帖』に似るといわれるが、米芾の学習が見て取れる。とりわけ連綿線の向きを変えながら右へ動かしながら、最後の「也」で一旦戻してから大きく右へ伸ばした終画が印象的である。

参考文献:米芾集 二玄社