うらやましい七夕の二星の恋心よ(3)建礼門院右京大夫集から

3.関わりのないことだけれど

釈文:「天の河 けふの逢ふ瀬は よそなれど 暮れゆく空を なほも待つかな」

選字は「天の河希ふの逢不瀬者よ所奈連 度久連遊具空を難本も待つ可奈」

鑑賞:「天の河」で字幅をゆったりと広げて、その下に「希」を用いて縦の流れを感じさせている。「ふ」は単純な字形ながら左への動きを出して変化をつけている。

一行目の後半にかけて「逢不瀬」では前の句を受けて塊を形成する。一行目最後の「連」はやや右へ流して隣の行の「類」と呼応する。

歌意は、「今宵の天の河の逢瀬は他人事だけれども、暮れてゆく空を自分たちのことのように待ち望んでいることだ。」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社