晴れも曇りも定めがない空に(2)建礼門院右京大夫集を書いて

2.雪模様の空までも

建礼門院右京大夫集 祥香書

釈文:「さらでだに ふりにしことの かなしきに
    雪かきくらす 空もながめじ」

選字:「佐ら亭多耳ふ利にしこと能か奈志支二
    雪可希久羅寸曽ら裳那可免志」

歌意は、「そうでなくても昔のことは悲しいのに、雪模様で曇っ
     ている空までも、眺めようとは思はない。雪が降ると
     一層悲しくなるから。」

鑑賞:「ふりにしこと」は古いと雪の縁語「降り」がかかってい
    ます。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社