春の花が咲く中で(2)李白・月下獨酌四首から其ニを書く

2.酒泉の地

「地若不愛酒
 地應無酒泉」

書き下し文は「地若し酒を愛せざれば
       地応に酒泉なかるべし」

鑑賞:「酒泉」は地名です。中国、甘粛省北西部。紀元前2世末頃、
   匈奴を駆逐した前漢の武帝がこの地に酒泉郡を置いたことに
   始まる。地名の由来にもなった湧水に恵まれ、古くから河西
   (かせい)回廊の要衝でした。郡名としては隋代に廃止され
   ました。*①

   一説には、その地にあった泉は、酒の味にする水を湧出した
   という。*② また、和漢朗詠(1018頃)下に『酒泉郡の民
   一頃だにもいまだ沍陰(ごいん)の地を知らず(大江匡衡)』

   大江匡衡は平安中期の学者、官人、正四位下、式部大輔。妻は
   赤染衛門で共に任国尾張で善政を敷きました。

このように有名だった酒泉の地を詩に詠み、酒の魅力を語っています。

*出典:① 日本大百科全書
    ② 精選版 日本国語大辞典