俊成卿女家集を書いて味あう(17)-月花五十首を-
17.六点満点のわけ
鑑賞:「旅拍」の題詠で俊成卿女が詠んだ歌は撰者により六点満点を得た。詞書にも「六の點候へば」とあり、六点合点されたので家集に入れました、と解される。
当時全員がこの歌を絶賛したわけは、伊勢の本歌をもとにしながら、全く異なる切り口で歌を詠んだことにある。本歌が「恋・涙」をテーマとしたのに対して、俊成卿女は「旅・孤独・涙」と展開した。
「袖の上に濡るヽがほなる光」まず、袖にこぼれた涙のしずくに月の光が映っている様子を描写する。そして「月」を登場させ、自らに共感する存在として擬人化し、作者の寂しさを投影させている。
参考文献:平安鎌倉私家集 久松潜一校注 岩波書店


