俊成卿女家集を書いて味あう(16)-月花五十首を-

16.旅泊
釈文:「袖の上に濡るヽがほなる光かな月こそ旅の心知りけれ」

選字は「袖のう遍耳ぬ流可本那る光可奈 つき許處旅農こヽ楼し利遣れ」

語釈:「濡るヽがほなる」涙で濡れた様子。「旅の心」旅愁。旅先でいだく寂しさ。

この歌の本歌は伊勢の「あひにあひて物思ふころのわが袖に宿る月さへ濡るヽ顔なる」『古今集』恋五である。

この本歌の歌意は「あの人と逢瀬を重ねたのに、別れには物思い涙する私の袖、そこに映る月も涙で濡れた顔をしているようだ。」恋の涙を詠んでいる。

参考文献:平安鎌倉私家集 久松潜一校注 岩波書店