名誉と知識は人を不幸に陥れることがある（2）荘子から解く

2.名誉は互いを

徳は名誉心の為に流される、と述べる孔子はさらに告げます。
「名也者相札也知也者争之器也二
　者凶器非以盡す行也」

書き下し文は、「名なる者は相い札（折・くじ）き、知なる者は争いの器なり。二者は凶器にして行を尽くす所以に非ざるなり。」

意味は、名誉は互いを傷つけるものであるし、知識は争いのための道具となる。名誉と知識の両者は、（人を不幸におとしいれる）凶器であり、人の行いを完全にするためのものではない。

そして、弟子の顔回には、この両者があるようだ、と師匠は考えているのです。衛の国へ行って、民を救いたいという気持ちの中に、名誉を得たいという心がないとは言えないでしょう。また、先生から授かった知識によって民を教化したいと思っているのかもしれません。

　参考文献：荘子　金谷治訳注　岩波書店