名誉と知識は人を不幸に陥れることがある(1)荘子から解く

1徳がどのように失われるか

荘子 祥香書

ここでは、師である孔子が顔回に世の中で良かれとも思われていることの本質を語り始める場面です。
且若亦知夫徳之所蕩而知之所為
 出乎哉、徳蕩乎名、知出乎争


書き下し文は、「且つ若も亦た夫の徳の蕩(うご)く所と知の為に出づる所とを知るか。徳は名に蕩き知は争より出づ。」

意味は、あなたは、本来の徳がどのように動いて流れていくか、知が何によって起こるのかをわかっているか。徳は名誉心の為に流され、知識は争う心のために起こる。

良いことだ、立派であると思われていることがどのように起こり、どこへ向かうのか、人の気持ちはどうして流されてしまうのか。こうしたことが述べられていきます。

 参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波書店