いにしへの歌を書き今を詠む(11)-和泉式部集(八十九)より

11.雨の夜に蛍を
釈文:「月あかく侍りし夜、人のほたるをつつみてつかはしたりしに、雨降りしにつかはしたりし 『おもひあらばこよひの空は とひてまし 見えしや月のひかりなりけん』」

歌の選字は「於裳日あ羅八こよ比の空盤と非てま志 見盈しや月の飛閑り難里希无」

鑑賞:「蛍火に燃え上がる情念を象徴させることは『古今集』、『伊勢物語』『宇津保物語』『源氏物語』にも見える。

「思ひ」に「火」(蛍の縁語)をかける。月夜にほたるを持ってきた人に雨の夜に持ってきてくださったら月と見間違えることがなくてよかったのに、の意味。

現代風にすると「燃える恋 思いがあれば雨の晩 ほたるを持って 月夜ではなく」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社