名付けて災いの人というのは(4)荘子を書いて読む

4.これでは火を消そうとして

荘子 祥香書

これでは、衛の君主の悪事を治すどころか、悪化してしまうと告げます。
 「是以火救火以水救
  水名之曰益順尤窮若殆以不信
  厚言必死於暴人之前矣


書き下し文は、「是れ火を以て火を救い、水を以て水を救う。これを名づけて益多という。始めにしたがいて窮まりなし、若殆ど信ぜられざるを以て厚言せば、必ず暴人の前に死せん。」

意味は、これでは、火を消そうとして火を加え、水を止めようとしてさらに加えるようなものだ。(相手の悪事をやめさせるどころか、かえってひどくなる)のを益多と呼ぶのだ。人を改善するどころか、相手のままに従っていくだけだ。

お前は信頼されないで忠義だての諌めをすれば、きっと乱暴者の面前で殺害されることになるだろう。

効果がないだけでなく、悪化させてしまうとは、顔回もどうしたら良いか考えてしまうことでしょう。
 参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波書店