尾崎放哉を書く(1)書いて味わう

1.冬のある日

尾崎放哉句 祥香書

尾崎放哉は、慶応三年(1867)ー明治三十六年(1903)、鳥取生まれ。一高時代に荻原井泉水と出会い、「層雲」で活躍しました。井泉水は、明治四十四年俳誌「層雲」を主宰し、季題無用の新傾向句を提唱しました。印象的で象徴的な自由律俳句を作りました。

放哉は、東大法学部卒業後、保険会社勤務を経て、その要職を辞し、放浪生活に入りました。句集「大空」などがあります。

上記は句集「大空」から庵で咳をしても誰もいない、たった一人の孤独感が冬の日を彷彿とさせる句です。「咳」は冬の季語ですが、意識したかどうかはわかりません。

 参考文献:かな墨場辞典 飯島春敬編 東京堂出版