かな帖の面構成を考える(5)一条摂政集から建礼門院右京大夫集へ

5.六の道に

建礼門院右京大夫集 祥香書

その歌は、釈文:「六の道を いとふ心のむくいには
         ほとけのくにに ゆかざらめやは」

選字は、「む徒の見遅乎い登布こヽ
     路の牟久以爾は本と介の九二
     耳ゆ可佐らめや盤」

歌意は、「六道に落ちないように仏道修行に励む報いとしては極楽浄土に必ず生まれ変わるでしょう。」

「むくい」は善行悪行の後に帰ってくる事柄で、「無患子」との掛詞。「むく」の音は、仏語の無垢に通じます。

信心深い方々には、六の道といえば、地獄に始まる天上までの道が浮かぶのでしょう。
 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社