俊成卿女家集を書いて味わう(3)-月花五十首を-

3.くちなしの
「おしなべて・・」和歌の行の後にある「くちなし」
解説:「くちなし一文字の候へば」は下に「本ノマヽ」と注する。

梔子色(赤みを帯びた黄色)の一文字風の合点がございますので(家集に入れました)の意か。これは作者の自注と思われる。多くの写本ではこれが書かれていないのは、注の意味が不明だったため省略したと思われる。

宮内庁書陵部(二本)等の写本には合点の記載がある。実際、この歌には定家を除く五人が加点している。こうした合点により家集に入れたり、新古今集の素材となった可能性があり興味深い。

参考文献:平安鎌倉私家集 久松潜一校注 岩波書店