物思ひせず心のどかな日(3)和泉式部日記を書いて

3.所在なく
釈文:つれづれとけふ数ふれば年月の きのふぞものは思はざりける」

選字は「徒連ヽヽ登遣布数ふれ盤年月の 記乃ふ楚も農八お裳はさり介類」

鑑賞:「昨日」は「心のどかに御物忌起きふし聞えてつれづれもまぎれた、「昨日」。「今日」の時点で、「つねよりもなごり恋しう思ひ出でられ」る昨日である。

歌意は「とりたててすることがないままに、今日、いままでのことを数えてみると、長い年月の中で、昨日だけは物思いをせずに過ごしました。」

参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫