宮の疑念と女の逡巡(12)和泉式部日記より

12.愛の本質は
釈文:「御返り うらむらむ心はたゆな限りなく 頼む君をぞわれもうたがふ」

選字は「う羅無ら无心者多遊奈か支り那久 多のむ君越曽利連裳うた可ふ」

歌意は「わたしを恨みに思われる心は、今後も絶えずにいてください。限りなく頼りにしている宮さまを、私も疑っているのです。

鑑賞:恨み、疑うことは相手に関心があるからで、この歌は男女の愛の本質を詠んだものとして秀逸。

参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫