真木の戸口で立ちながら(1)和泉式部日記を書いて

1.以前のように

釈文:「宮、例のしのびておはしまいたり。女、さしもやは、と思ふうちに、日ごろの行ひに困じて、うちまどろみたるほどに」

選字は「宮れい農し能飛弖おは志まい多里女佐し裳や八と於母布有地耳日こ路の行ひ爾困してう遅満とろ見多流本登 爾」

鑑賞:「行ひ」はお寺の勤行。「困じて」昼夜を通して精進決済して仏道に専念するため疲れてしまった。

大意は「宮が以前のようにお忍びでおいでになったが、女の方では日ごろの勤行で疲れていてうとうととしてしまった。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社