詩書切を臨書し特徴をよむ(2)和漢朗詠集から

2.和漢朗詠集の始まりは

詩書切 藤原定信筆 祥香臨 東京国立博物館蔵

始めの漢詩「早春即事」は『和漢朗詠集』巻上「春・鶯」に入っている。『和漢朗詠集』は970年ほど前に藤原公任が、娘が結婚するときに婿への引き出物として当時朗詠されてい

たものに、自らが新たに選び加えて、第一の能書である友人の藤原行成に清書してもらったものが元になっていると言われている。

平安王朝の人たちが、当時美しい和歌や漢詩の一部を調子をつけて口ずさんでいた。また、料紙にかな文字を書き流れやリズムを賞翫した。

そうした人々の愛唱した和歌や詩の重要な一部を選び抜いて上下二巻に集めたものである。
 参考文献:和漢朗詠集 川口久雄 講談社学術文庫