逢える日を神に祈っても(3)建礼門院右京大夫集より

3.祈っても無駄よ

建礼門院右京大夫集 祥香書

そして作者からお返しの歌です。
 「もろかづら その名をかけて 祈るとも
  神のこころに 受けじとぞ思ふ


選字は、「も路可徒ら曽の奈越かけて
     い農る登毛可美のこヽ露二
     う希志と處於も不」

歌意は、「逢ふ日」にかけて、もろかづらを神社の前にかけてお祈りしても、神様はお聞きとどけにはならないことでしょう。

「もろかづら」は、「葵かづら」とも言い、御簾などを飾ったもので、昔は陰暦4月の中の酉の日に行われ、古来、祭りといえば葵祭を指しました。

作者は、ここでもきっぱりと隆信からの申し出を一顧だにしていません。ところが、これでは終わらなかったのです。
 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社