俊成卿女家集を書いて詠む・恋(10)-余情あふれて-

10.漕ぎ離れゆく
歌意は「離れゆく月の光が身にしみて情趣がある虫明の浜の松風の音がきこえるよ」

現代風に詠むと「月光が離れてゆくよ しみじみと虫明の浜 松風の音」

歌合の判定は俊成卿女の勝だった。判詞は「月に聞く虫明の松の風の音や常の浦には吹きまさるらん 以右為勝」(慈円判)

鑑賞:「常の浦」は常陸などを想定させるが、「虫明」というしんみりとした風情を感じさせる浜を場面として設定したことも勝因になったと考えられる。

参考文献:平安鎌倉私家集 久松潜一校注 岩波書店