詩書切を臨書し特徴をよむ(7)和漢朗詠集から

7.路の草も伸び

詩書切 藤原定信筆 祥香臨 国立東京博物館蔵

「傅野無人路漸滋」

書き下し文は「傅野に人無くして路漸くに滋し」

鑑賞:「傅野」を抑え気味に書き、「無」の横画で大きく展開している。「人」へ連綿し、さらに右へ張り出して印象的である。

「路」を「人」の中へ入れて、『関戸本』を思わせる。「漸」の終画は空間を生かすように長く伸ばし、「滋」はやや扁平に書きまとめている。

参考文献:書の美 島谷弘幸著 毎日新聞社