詩書切を臨書し特徴をよむ(5)和漢朗詠集から

5.住みなれた古巣は

詩書切 藤原定信筆 祥香臨 東京国立博物館蔵

「舊巣為後属春雲」

書き下し文は「旧巣は後のために春の雲に属(あつら)ふ」

全体を現代語にすると、「うぐいすが、谷をでようとするする今、前の残雪を分けて新しい道を求めようとしている。住みなれた古巣は、いつか戻る日のために、そのままにしておいてほしいと、春の空に浮かぶ雲に頼んで行こう。」

鑑賞:「後」は仮名を思わせる柔らかいタッチで優美である。その下の「属」は確かな筆遣いで存在感がある。

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫