心をのびのびと解き放し(1)荘子を書きながら

1.格言にもいう

荘子 祥香書

荘子はこれまで、「ことばは波や風のように変わりやすいものなので、あまり厳しく突きつめない方がよい」と述べます。さらに、格言に

故法言曰、尤遷令、尤勧成、
 過度益也、遷令勧成也殆事


書き下し文は、「故に法言に曰く、令を遷すこと無かれ。成るを勧むること無かれ
        と。度を過ごすは益なり。令を遷し成るを勧むるは事を殆うく 
        す。」

現代語にすると、「だから格言にも『君主の言いつけを変えてはならぬ。成功しよ
         うとつとめてはならぬ』とあります。度を過ごすのは余分なつ

         けたしですし、言いつけを変更したり成功しようとつとめたり
         するのは事を危うくするものです。」

この意は、つきつめた気持ちで自分の思い通りにしようとすれば、相手にしわ寄せが及び、予期せぬことが起こるかもしれないということでしょう。
 参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波文庫