料理人の話を聞いて君子は(3)荘子を書く

3.刃先をすきまへ

荘子 祥香書

料理人は、十九年も長きにわたり牛刀を使っても、今研いだばかりの切れ味であるという。その理由が明かされます。

彼節者有間、而刀刃
 者无厚、以无厚入有
 間、恢恢乎其於遊刃必

 有餘地矣、是以十九年
 而刀刃若新發於(石刑
)」

大意は、骨節には隙間があり、牛刀には厚みがないので、隙間に入っていくのは容易いことです。だから十九年も使っていても、たった今研いだばかりのようなのです。

狭い空間を広々とした隙間であると感ずる余裕が、この料理人には有ます。
 参考文献:荘子 金谷治校注 岩波書店