2020-08-21 / 最終更新日時 : 2020-08-09 タオ 思慕の情 若き維盛の警固姿に(4)建礼門院右京大夫は 4.絵物語を見るようで 現代語訳を続けますが、底本に「ふたえ」とあるのを、「ふたあゐ」と改めてあります。*① 「二藍(赤みを帯びた藍色)の色が濃い直衣(平常服)に括り袴、若楓(表が薄萌黄色、裏は薄紅梅色)の衣、その季節の […]
2020-08-20 / 最終更新日時 : 2020-08-09 タオ 思慕の情 若き維盛の警固姿に(3)建礼門院右京大夫は 3.警固姿は凛々しくて さらに、もう一語「警固の姿」とは賀茂祭の前々日の未の日から翌日まで、近衛府の中将以下が束帯または直衣に弓矢・剣を帯し冠に巻れいをつけた服装で警固にあたることです。 それでは、現代語訳を試みますと、 […]
2020-08-19 / 最終更新日時 : 2020-08-09 タオ 思慕の情 若き維盛の警固姿に(2)建礼門院右京大夫は 2.賀茂神社の祭礼に 使われている語彙を少し見ていきましょう。みあれ:御生と書き、賀茂神社の祭神、別雷命の生誕祭といわれます。 藤壺:宮中五舎の一つ、飛香舎、清涼殿の北、弘徽殿の西に位置します。 壺(中庭)に藤が植え […]
2020-08-18 / 最終更新日時 : 2020-08-09 タオ 思慕の情 若き維盛の警固姿に(1)建礼門院右京大夫は 1.平家の若武者 再び、頭中将実宗が現れ、4月のお祭りの頃、平家の若武者に声をかけます。 「おなじ人の、四月みあれの頃、藤壺にまゐりて物語せしをり、権亮藤壺のとほりしを呼びとめて、「このほどに、いづくにてまれ、心とけて遊 […]
2020-08-17 / 最終更新日時 : 2020-08-08 タオ 思慕の情 「琴ひけ」と言われ建礼門院右京大夫は(5) 5.見事な返し歌 いよいよシーンは佳境に入ります。琵琶の名手である頭中将実宗が、「琴ひけ」と言われ、文をよこします。 「松風の響きもそへぬひとりごとは さのみつれなき音をやつくさむ」 「つれなき」は、連れ、合奏ができない […]
2020-08-16 / 最終更新日時 : 2020-08-08 タオ 思慕の情 「琴ひけ」と言われ建礼門院右京大夫は(4) 4.和歌も琴の音を松風に喩えた 琴の音を松風に喩えることが、好まれました。 「琴の音に峰の松風通ふらし いづれのをより調べそめけむ」 斎宮女御 『拾遺集』雑上と、歌われています。 歌意:静かな夜、 […]
2020-08-15 / 最終更新日時 : 2020-08-08 タオ 思慕の情 「琴ひけ」と言われ建礼門院右京大夫は(3) 3.琴の音色を松風にたとえる ここで、「松風のひびき」が登場しますが、これは「琴の音」のことです。この比喩は漢詩によく見られるものです。 『和漢朗詠集』管弦付舞妓に 「第一第二の絃は索々たり 秋の風松を払って疎韻落つ […]
2020-08-14 / 最終更新日時 : 2020-08-08 タオ 思慕の情 「琴ひけ」と言われ建礼門院右京大夫は(2) 2.松風の響きのような それでは本文を見てまいりましょう。釈文:頭中将実宗の、つねに中宮の御方へまゐりて、琵琶ひき歌うたひ遊びて ときどき、「琴ひけ」などいはれしを「ことざましにこそ」とのみ申し て過ぎしに、ある […]
2020-08-13 / 最終更新日時 : 2020-08-08 タオ 思慕の情 「琴ひけ」と言われ建礼門院右京大夫は(1) 1.頭中将実宗 ここで初めに登場人物の紹介をいたしましょう。冒頭に出てきます、頭中将実宗とは、西園寺(藤原)実宗。 久安五年(1149)生まれ、建暦二年(1212)没、六十四歳。 権大納言藤原公通の嫡男、母は内大臣藤原 […]
2020-08-12 / 最終更新日時 : 2020-08-02 タオ 思慕の情 宮人の御衣裳はすばらしい(5)-建礼門院右京大夫 5.私の気持ちはこんな感じ 後半の釈文を記します。「宮は、つぼめる色の紅梅の御衣、樺桜の御表着、柳の御小袿、赤色の御唐衣、みな桜を織りたる召したりし、にほひ合ひて、いまさらめづらしくいふかたなく見えさせ給しに、おほかたの […]