若き維盛の警固姿に(4)建礼門院右京大夫は

4.絵物語を見るようで

建礼門院右京大夫集  祥香書

現代語訳を続けますが、底本に「ふたえ」とあるのを、「ふたあゐ」と改めてあります。*①

「二藍(赤みを帯びた藍色)の色が濃い直衣(平常服)に括り袴、若楓(表が薄萌黄色、裏は薄紅梅色)の衣、その季節の単衣、あたりまえの衣装でしたが、とりわけ鮮やかに見えました。本当に絵入りの物語に描かれている人物の

ように美しく思えました。実宗は、「我が身が維盛のような美しい容姿の持ち主だと思ったのなら、命も惜しくて、かえってよくないことであろう」と言われました」

見目麗しい平維盛の姿は、女御のみならず、頭中将をも魅了します。ただ、気になる事を言われました。その点を次回見ていきましょう。

 *出典:建礼門院右京大夫集  糸賀きみ江校注 新潮社