「琴ひけ」と言われ建礼門院右京大夫は(1)

1.頭中将実宗

建礼門院右京大夫集  祥香書

ここで初めに登場人物の紹介をいたしましょう。
冒頭に出てきます、頭中将実宗とは、西園寺(藤原)実宗。

 久安五年(1149)生まれ、建暦二年(1212)没、六十四歳。
 権大納言藤原公通の嫡男、母は内大臣藤原道基の女。元久二年(1205)内大臣となり建永元年(1206)辞任、出家した。坊城、または大宮の入道内大臣と呼ばれた。琵琶の名手。『千載集』および『新古今集』に入集されています。

当時、頭中将であった実宗は、このとき近衛の中将で、蔵人頭を兼ねていました。蔵人頭とは、天皇に近侍し、その他宮中の雑事を掌る蔵人所の長官です。また、この人物は琵琶の名手で、妙音院藤原師長の弟子です。*①

これから、鷹揚とした実宗に建礼門院右京大夫がいかに対処していくのか、お話の展開が楽しみです。

 *出典:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社