建礼門院右京大夫集-宮仕えの日々-(1)

1.建礼門院右京大夫とは?

建礼門院大夫集 新潮社  祥香書

建礼門院右京大夫は平安末期に活躍した歌人です。愛する人を失い、数奇な人生を歩んだことは,他の女人たちと変わるところがありません。

亡き人を追って入水はせず、建礼門院のように仏門にも入りませんでした、ただ愛しい人の面影を慕い暮らしつつ家集をしたためました。その生きざまと、折に触れて詠まれた歌には情感がこもっています。

詞書に書かれた文からは、当時の暮らしぶりも推察されて、歌の背景にも心が動かされます。

書を書く場合に、ともすると和歌のみを書き、その歌を詠むに至った経緯に思いがいたりません。こうした家集を通して読むことで、和歌が、その時代や読み手の気持ちがこもったものであることがわかり、理解が深まることと思います。

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社