道元の自然とは、和歌から(3)

3.悟りの瞬間
「阿耨菩提に伝道受業の仏祖おほし。」
現代語訳:最高の知恵の授受については、仏祖の先例が多い。

そして、宗祖の達磨大師を例にとり、臂を断ち参じた二祖慧可に学ぶがよいと述べています。それぞれに、古い殻を破るには、これまでの知見や理解に拘らず、これまで見たこともなく、経験したこともないことが立ち現れる、そのときがいつになるかは誰にもわからないのです。

大宗国にいた東坡居士蘇軾は、詩文において本物で、仏法の世界で優れた師を訪ね、真理を求めていた。常総禅師にお会いして、無情説法を聞いた夜のこと、悟るところがあり、詩をしたため、師に差し出したところ、「よきかな」といった。

道元は、こうして悟りを得た東坡居士の詩の内容について述べます。
思えば、われらはいくたびとなく仏の現し身の説法を聞く機会を逃してきたらしい。ましてや、山の色を見たり、谷の声をきくなどはありもしない。

次回は、道元の歌と東坡居士の詩の関連を見ていきます。

                 参考文献:正法眼蔵 増谷文雄