俊成卿女家集を書いて詠む・恋(8)-余情あふれて-

8.本歌からみる歌風
本歌は「春の夜の夢の浮橋と絶えして嶺に別るヽ横雲の空」(御室五十首・新古今集春上)

俊成卿女の歌風は定家の余情妖艶の歌風に近く、定家もこうした歌を重んじている。石清水若宮歌合にある俊成卿女の歌「月影もうつろふ花にかはる色の夕を春もみよし野の山」を「妖艶の姿と言うべき」と評価している。

新古今女流歌人の中でも式子内親王の御歌は繊細でしみじみとした情趣が感じられるが、俊成卿女の歌は詞の続け方が巧みであるといわれる。この歌も定家の影響が著しくみられる。

参考文献:平安鎌倉私家集 久松潜一校注 岩波書店