懐素『自叙帖』を臨書して(22)-草書から-

22.魚牋
釈文:「魚牋絹素。多所塵點。」

鑑賞:「魚」墨継ぎをして、キリッと引き締まった書線が目を引く。「牋」の偏は力強く、旁の円転には緩みがない。筆は左へ回る時にゆったりと筆圧がかかり、上へ動く時に筆先を挙げて、さらに右へ運ぶ際に圧がかかっている。

「絹」の偏は筆を深く入れて力をためて、旁は軽やかに運筆して対照的である。「多」の起筆は強く、印象的、リズムが感じられる。

よく観察しながら、臨書していると細かい運筆の妙に気がつく。ゆるぎない筆の運びは、懐素の心境があらわれている。

参考文献:自叙帖 懐素 二玄社