王羲之書法と中国書の源(9)集字聖教序から

9.庸愚も
「庸」:「广」の中に書く部分を右によせて、ふところを広くしてバランスをとる。「广」から画の中で筆がもどる気持ちで内側を通って次の画に続くようにする。これは行体の特色としての変化である。

また、第一画と第二画の間を十分に離して大きさをだしている。

「愚」:上部は少し軽やかで明るく、下部の「心」は三点に省略されている。ここで筆圧を加えて、安定をはかる。点画の省略は前にもあったが、楷書と異なる点である。

楷書では別の形をしていた字が省略によって同じような形になることがある。例えば「心」の省略で三つの点を連続したようになるが、「黒」の烈火点を省略しても全く同じになる。

参考文献:集字聖教序 天石東村編 二玄社