王羲之書法と中国書の源(2)集字聖教序から

2.おもむきの書
王羲之の書には、それまで表すことのなかった書者の感情を織り込むことに成功した。直鋒から偏鋒へと柔軟に対応して書線に変化をつけた。

新書体へ移行する中、篆書・隷書の遅筆と行書・草書の速筆を一画の中に取り入れて緩急をつけ、鵞鳥が頭を動かすように手首にスナップを利かせて抑揚をつけた。

こうして、書は変化に富んだ表現ができるようになり、変化の中に感情を入れるようになった。日本では古くから王羲之の書に親しんできた。

参考文献:書の語られ方 松村茂樹著 日本経済評論社