涙がとどめなく流れて(1)建礼門院右京大夫集にて

1.どうということのない話でも

建礼門院右京大夫集 祥香書

特にどうということのない話を耳にしても
釈文:「ことなることなき物語りを人のするに、思ひ出でら
    るることありて、そぞろに涙のこぼれそめて、とど
    めがかたく流るれば」

選字は、「こと那るこ登奈支物語りを人農寸流二
     思ひ出て羅ること阿利て處ヽ路耳涙
     乃こほ連曽免てとヽめ多供奈可類れ者」

大意は、「特別に変わったことではない話を人がした時に、
     思い出すことがあって、無性に涙がこぼれて、と
     めどなく流れたので」

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社