思ひがけない月夜の逢瀬(7)和泉式部日記を書いて

7.粗末な牛車で

釈文:「(とのた)まはすれば、さなめり、と思ひてさぶらふ。あやしき御車にておはしまいて、『かくなん』と言はせ給へれば」

選字は「万は春連八沙奈ヽ免里と於母日弖さ婦ら ふ阿やし支御車爾お盤るまい天 可具難无と言はせ多ま邊れ者」

鑑賞:「かくなん」こんな次第ですと、宮の来訪を告げた。

大意は「とおっしゃれば、(右近の尉は)例の場所だなと、気づいてお供をした。粗末な牛車で女の所にいらしてこんな次第ですと」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社