変化に富む筋切を臨書する(3)古今和歌集第四巻

3.秋きぬと

古今和歌集巻第四巻首 藤原定実筆 祥香臨

内容は、
釈文:「秋上
     秋立ひ読る
            藤原敏行
   秋来とめにはさやかに見えねど
   も風の音にぞ驚かれぬる」

選字は、「秋立日読る
    秋来と免爾者さや可に見えねと
    无風の音爾曽驚かれぬる」

漢字を取り混ぜながら、決して重くならず軽快で変化に富んだ美しさはさすがです。特に「驚」は通常の大きく力強く書く漢字ですが、柔らかく繊細な書き振りです。

参考文献:書の美 島谷弘幸著 毎日新聞社