袖の氷はとけぬまま(1)建礼門院右京大夫集にて

1.日吉神社へ参詣して

建礼門院右京大夫集 祥香書

作者は日吉神社、比叡山東麓にある、へ参詣した折に面白い体験をします。

釈文:「日吉へまゐるに、雪はかきくらし、輿の前板にこちたく
    つもりて、通夜したるあけぼのに、宿へ出づる道すが
    ら」

選字:「日吉へまゐ流爾雪者か支九羅しこ志能
    ま遍い多耳こ地堂久つ裳里て通夜
    し多類あ希ほ農二宿へ出徒る道
    須可ら」

大意は、「比叡残の守護神の考えられていた日吉神社へ参詣した
     時、雪は空をおおい降りしきっておりました。輿の前
     板にとてもたくさん積もって、夜中祈願して明け方に
     宿へ帰る途中」

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社