夏深きころ蜩とともに(4)建礼門院右京大夫集から

4.仏様さえも

建礼門院右京大夫集 祥香書

夏が深まる頃に地面が乾き、鳴き続けるひぐらしに自らを重ね合わせます。そして、
これまで信じてきた神仏に思いを馳せます。

釈文:「なぐさむこともなきままには、仏にのみ向ひたてまつるも、さすがをさなく
    よりたのみ聞えしかど」

選字は、「奈倶さむこ登裳那支まヽに盤仏爾
     のみ向日多傳万まつるも佐寸可をさ奈
     久よ梨多の見きこえし可度」

 幼いころから、仏を頼みとしてきたけれど、と作者の心に影がさしているようです。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社