夏深きころ蜩とともに(3)建礼門院右京大夫集を書く

3.教えておくれ

建礼門院右京大夫集 祥香書

ひぐらしの鳴く夏の終わりに、問いかける歌を作者は詠みます。

釈文:「言とはむ なれもやものを 思ふらむ
    もろともになく 夏のひぐらし」

選字は、「故とヽ盤む奈れ毛やもの越四布ら無
     裳流とも耳難久夏のひ具羅し」

歌意は、「ちょっと聞きたいの、あなたも何か思いにふけっているのですか。私と一緒に
     一日中ないている夏のひぐらしよ。」

鑑賞:「ひぐらし」は夏から秋にかけて夜明けや日暮れに、高くよく通る声でなくセミの
    一種です。「カナカナ」と言う声が哀切を誘います。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社