生きていられそうもないけれど（4）建礼門院右京大夫集から

4.今日まで生きてきて

作者は生きていくのがつらくかといってどうしようもできない心境を詠んでいます。
「と思へど、さもなきつれなさ、心憂し。
あらるべき　心ちもせぬに　なほ消えで
今日まで経るぞ　かなしかりける」

歌の選字は、「あ羅る遍支心ちも勢ぬ耳奈ほ支
　　　　　　　えて計ふま傳布る所可奈し可利
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　遣流」

歌意は、「生きていられそうにない気持ちなのに、なお死にもせず、今日まで生き
　　　　　ながらえているのは悲しいことです。」

鑑賞：詞書で「さもなき」と作者は発熱があったものの、病が重くなって死んでし
　　　まうわけでもない、の意味です。
　参考文献：建礼門院右京大夫集　糸賀きみ江校注　新潮社