かつて、あなたにお逢いした時(2)建礼門院右京大夫集から

2.変わらないほととぎす

建礼門院右京大夫集 祥香書

 「もろともに ことかたらひし あけぼのに
  かはらざりつる ほととぎすかな」

選字は、「裳路とも爾こ登可たら日しあ
     希ほのニ可者羅佐利つる本とヽ支須
                   可な」

和歌の書き出しを二文字上げることで、生まれる余白は、歌を際立たせることでしょう。詞書と和歌のもたらすリズムが心地よく流れていきます。無理なく広狭があり、潤渇が生じることが肝要です。

歌意は、二人でかつて語らって、明け方にほととぎすの声が聞こえましたね。少しも変わら無い声で鳴いていました。

近頃つれない隆信に、遠回しな表現で「最近おいでになりませんこと」と心の内を歌っています。それに対して隆信の返し歌はいかがでしょうか。