良寛さんの秋を書く(3)良寛歌集より

3.立ち酒をさらに

良寛歌集 祥香臨

 お酒の好きだった良寛さんの様子が偲ばれる歌です。
 「露はおきぬ山路は寒し 立ち酒を食して帰らばけだしいかがあらむ」

選字は、「露波おきぬや萬ち波さ無し
     當ち酒さけをヽして可へ良者け
     多しい可阿羅牟」

「立ち酒」:暇乞いして立つ時に飲む酒
「いかがあらむ」:どう出ようかと更に一杯の立ち酒をねだっている。

露が降りてきて山道は寒いでしょうから、もう帰りますと言いながら、一杯酒をいただき、さらに帰る前にもう一杯ねだっています。

良寛さんなら致し方がないと思わせる、おおらかで微笑ましいお歌です。
 参考文献:良寛歌集 渡辺秀英著 木耳社