そよ風は軽やかな調和(5)荘子を書く

5.風の樹々のゆらめき

荘子 祥香書

冷風則
 小和、飄風則大和厲
 風済則衆竅為虚、*獨
 而不見之調調之刀
 刀乎」
 *而獨

読み下し文は、「冷(零)風は即ち小和し、飄風は即ち大和す。厲風(つむじかぜ)やめば即ち衆竅も虚と為る。而独に之の調調たる之の刀刀たるを見ざるかと。」

現代語にすると、そよ風の時は、軽やかなハーモニー、強風のときは壮大な調和。そして激しい風が止むと、もろもろの穴はすべて静まり返る。お前は、あの風の中の樹々がざわざわと動き、ゆらゆらと揺れるさまを見たことがないのか。

あらゆる風がもたらす音は、調和の中で奏でられます。微風の心地よさを知っていますが、強風にもまた調和があるのです。

参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波書店