建礼門院右京大夫、題詠歌を詠む(4)

4.鶯の声に何がある?

建礼門院右京大夫集  祥香書

年が改まるときに、待たれるものは鶯の声、という歌がありました。
ここでは、「鶯有慶音」と題し、「鶯の声によろこびの響きがある」という題意です。
すでにこの題の設定によって、景色が浮かびます。

 「のどかなる春にあふよの うれしさは
  竹の中なるこゑのいろにも」

意味は、「平和な御代ののどかな春に、生きとし生けるもの、歓喜にあふれ竹の林の鶯の声にも慶びがみちています。」

「よ」は「代」と「節」との掛詞で、「節」は竹の縁語になります。*①

御代の平穏を願い、慶びがいたるところに満ちていることを歌っています。
 *出典:①建礼門院右京大夫集  新潮社